20◆◆年、東京、空に大きな筆字の丸が出現した。
黒墨に染まった空は溶け、地に降り注ぎ東京23区とその他世界を隔てるように覆う壁を作り出した。
一週間後、閉鎖空間での生活は唐突に終わりを迎えることになる。
黒墨の空から降り立ったのは羽衣を纏った古風な女性。空のような黒い髪を腰まで伸ばした美しい女性。
口を開けばすべての中にいた人々に聞こえるもの。脳内に直接響くような声、世界の古賭ノ刃を聞き終えれば、人々は武器を取るのだった。
黒墨の壁が開ければ、外の世界は未知の異世界となっていた。
それは昔の出来事、今は約200年後の世界。
◆京
元東京都心。現代の建物の面影を残しつつ、夜も灯りが途絶えることのない和風な歓楽街。もともと東京駅があった場所には和風な城が築城されている。その天の席は空席。人々はそこを求めて争うという。
◆外界
転移先の異世界のこと。華風と和風を混ぜたようで、神話のような地形が無限のように彼方まで広がる世界。南の方に行けば大海が、北に行けば険しい山脈が、東に行けば砂の海が、西に行けば大森林が主な景色となる。それぞれに幻獣のようなものが多く住み着いており、それらはただの人が太刀打ちできるような生半可なものではない。
◆開拓都
外界に進んだ人間たちが形成した集落。作りは世界に合わせられ和風や華風。休息地が主な目的となっているのだが、世界の掟故か、それとも現在の人類の性なのか、たいていが歓楽街じみて遊戯に溢れる街となっている。